第43話 『聖銃・スピーリトゥス』と『創銃・クレアーレ』 (2/2)

俺の声に応えて、イグニス、アクア、テラが精霊石から出てくる。それぞれ火、水、土煙を纏っての登場だ。なんかそれっぽい。

「ここで武器の練習をするから、力を貸して?」「「「!!」」」

みんなやる気十分のようだ。

「精霊石に力を込めて」

それぞれの前に一つずつ精霊石を置いていく。イグニスたちは言われた通り、それに力を注いでいく。

「おお」

精霊石は力を注ぐほどに色を付け輝いていく。イグニスは真紅に。アクアは紺碧に。テラは雄黄に。アニマは深緑に。 フィリアにもらったコンパスやイグニスたちが中に入っていた精霊石は無色透明だった。つまりこの色や光はイグニスたちの力に精霊石が反応して起こっていることだ。

「っと、それくらいでいいかな。ありがとう」

いつまでも見ていたいくらい綺麗な光景だけど、そうはいかない。ある程度力を込めてくれたところで回収して、『聖銃・スピーリトゥス』に込める。 リボルバーのような見た目をして、実際に弾となる精霊石をシリンダーへ装填するが、どうやら一発撃つごとにシリンダーが回転することはないらしい。

というのも、シリンダーみたいなものはあるものの、それは窪みがあるだけで貫通はしていないからだ。自分でくるくる回して攻撃の属性を変えるっぽい。これは『創銃・クレアーレ』も同じ。 窪みに精霊石をはめる。当然だけどジャストフィット。

「じゃあまずは火から……」

銃口の延長線上に火の精霊石をセットし、テレビや創作の見よう見まねで構えてみる。カチッとするハンマー?はついていないので、おそらく引き金を引けば撃てるはずだ。 いざ、周りにたくさんある大岩のうちの一つに狙いをつけて……発砲!

「……あれ?」

何回も引き金を引いているのに、一発も撃てない。不具合?

「あのさマスター」「ん?」「取説ちゃんと読んだ?」「取説なんてなかったじゃん」「あるけど」「え!?」

はいこれ、と渡されたのは、どう見ても取説には見えない紙切れ。文字は書かれているけど、擬音が多くて何が書かれているのか全く分からない。

「その銃をもらったときに一緒に入ってた。んでそこには、撃つときに魔力が必要って書いてあったよ」「魔力?」「そ、魔力。銃に流し込んで精霊の力を誘発するんだって。それだけだから消費するわけじゃないわね」「てことは【魔力操作】が必要なのか……」

それも口頭で教えといて欲しかったなぁ?