第43話 『聖銃・スピーリトゥス』と『創銃・クレアーレ』 (1/2)

イノシシや熊、あと使えそうな昆虫の素材を渡すと、凝ったものじゃないからすぐにできると言われた。 数十分して本当に作り終わったらしく、俺は初めて防具を身に纏うことができた。

「ヘラクレスの素材があったからそれで毛皮をコーティングした感じね。ある程度の耐久性はあるけど、オリジナルで造る防具よりは数段劣るわ」「それでもないよりはましです。ありがとうございます」「竜の素材、楽しみにしてるわね」

るなさんにお礼を言って、店を後にする。日はまだ高く、ミカに会いに行くには早すぎる。るなさんにも言われたことだし、この武器の練習をしよう。そういえばこの武器って名前あるのかな。

「『聖銃・スピーリトゥス』と『創銃・クレアーレ』……」

そのまんま。るなさんがつけたのかな? もしそうならネーミングセンスが俺と同等ってことになるけど。 防具のほうは普通に『毛皮のコート』だった。くるぶしくらいまで長さがあるけど、動きを阻害されている感覚はないので多分大丈夫だと思う。

「どこで……お金無くなったし金荒野でいいか」

たくさんあったお金も銃二丁に消えた。あと防具。これといって特にすぐ必要なものはないけど、あって損はないし、試し撃ちするのにタフなモンスターがポップする金荒野はぴったりだと思った。 そうと決まれば金荒野へ向かう。イグニスたちは精霊石の中が気に入ったみたいで、みんなそこに入っている。アニマだけはちょくちょく出てきては少し話して戻っていっていた。おかげで楽しく移動できた。

「人いるなー」

金荒野は今日もプレイヤーで盛況だった。そこかしこで戦闘が行われている。

「ついた?」「あ、アニマ」

胸ポケットにしまってある精霊石から、アニマが飛び出してきた。人がたくさんいるし目立ったことはしてほしくないけど、これは仕方ない。

「ついたけど、どこで練習しようか迷ってる。結構人いるし」「ふーん。ちょっと待ってなさい」「あっ、だからあんまり目立つことは……」

俺の言葉も聞かずに、アニマはビュンビュンと上へ飛んでいく。これならアニマが小さいこともあって見えにくいからいいか……。 ゴマ以上に小さくなったアニマは、数秒もしないうちに元の大きさに戻った。高速で飛んでるけど顔が崩れたり髪が乱れないってすごい。

「上から聞いてきたけど、あっちのほうは人間が少ないわね」「聞いてきた?」

見てきたんじゃなくて?

「あたしを誰だと思ってるの? 風の精霊よ? 風の声を聴いたに決まってるじゃない」「すげー」

まだできること増えるのか……精霊って設定盛りすぎじゃない? 精霊に対して畏怖を抱きつつも、アニマが教えてくれたほうへ足を運ぶ。するとそこは本当に人が少なくて、しかも大きな岩である程度周りから見えなくなっている。隠れて練習したい俺にとって、ここはとてもちょうどいい場所だ。

「みんな出ておいで」