第38話 ただのマッチポンプ (1/2)

ミカとともに夜の街へと繰り出す。あんなことがあったし、口では何と言ってても本心は恐怖があると思っていたけど、そんなことはなかったみたいだ。躊躇うことなく踏み出した。

「ところで、教えてもらったのってお母さん?」「だと思うんですけど、はっきりとは覚えてないです」「そっか」

ミカ曰く、そこの記憶は靄がかかったような感じで、覚えている気がするけど思い出せないんだそうだ。 他にもミカと話していたけど、追加の情報はなし。ミカが話を聞いたのは夜の街ではないみたいだ。

「今日はこのくらいにして、帰ろうか」「そうですね。ごめんなさい、何も思い出せないで」「大丈夫、大丈夫。また今度違う場所に行こう」「はい!」

家に帰る途中も、トラブルが起こることなく、無事に帰ることができた。 ミカが家の中に入り、俺は玄関で立ち止まる。もういい時間だし、そろそろログアウトする予定だ。

「じゃあミカ、また今度ね」「はい、いつでも待っています」「おやすみ」「おやすみなさい」

翌日、俺は取り調べを受けていた。

「アオ?」「なんでしょう」「精霊の森見つからないけど?」「まだ一日じゃん」「使用人も使っての人海戦術舐めんな」「なにしてんだ」

場所は教室。取り調べ人は朱音だ。お昼を買いに行こうと席を立ったところで、強制的に座らされた。お昼……早くいかないと売り切れちゃうんだけど。 どうやら朱音は昨日、どうしても精霊の森に行きたいがために、たくさんの人でユートピア中を駆け回ったらしい。それでも見つからなかったから、俺が嘘をついていると思って、こんなことをしたみたい。

「精霊の森はちゃんとある。もっとしっかり探しなよ」「それだけの情報じゃ無理だって!」「それもそうか」