第32話 ぅえ!? (2/2)
「そのノームさんはまだ幼いようですね。精霊石を自在に作るのは難しいかもしれません」
見た目で幼いのかどうか見分けられないんだよなぁ……。小さいかどうかで言ったら、イグニスも小さいし。アクアはよくわかんない。
「もし精霊石をお持ちでしたら、少し貸していただけませんか?」「いいですけど、何するんですか?」
精霊石はたくさんあったはず。少しくらい女王に渡しても問題ないだろう。 テラに精霊石を出してもらい、手のひらに乗るサイズのそれを女王に渡す。てか元は結晶の柱みたいな見た目だったのに、今取り出されたのはそこらへんに転がってる石をごつごつさせたみたいな見た目になってたぞ。
「この精霊石、精霊が作り出すので精霊石と言われているのですが、それだけではないのです」「というと」「精霊が作り出す精霊石には、精霊の力を宿す性質があるのです」「精霊の力を宿す?」「やって見せましょう」
そういうと女王は、手に持った精霊石を胸に抱いた。おっふ……精霊石がなくなったぞ。痛くないのかな。ほんとでけえ……。 胸に抱いた状態で数秒が経過すると、その場所から光があふれてきた。眩い、けれど直視できる優しい光。
「こちらです」
光が収まり、女王が見せてくれたのは、虹色に輝く精霊石。
「どうぞ」「あ、どうも」
女王が持ってた精霊石が俺の手にぃ! 変に緊張してしまうが、それを悟られないようにしないと。
「精霊石にわたくしの力を込めました。確認してみてください」
・精霊女王の精霊石精霊女王の力が込められた精霊石。あらゆる鉱石の頂点に立つほどのポテンシャルがある。
「ぅえ!?」
なんか変な声出たけど!
「ああ、それは差し上げます。おそらくその精霊石に驚いているのでしょうけど、あまり期待はしないほうがいいです。他の精霊たちでは、その精霊の能力や属性が反映されるのですが、女王であるわたくしにそのようなものはないのです。つまりただの精霊石の上位互換、という感じです」
確かに、鉱石の頂点ではなく、ポテンシャルがあるだから、実際には頂点というわけではないのか。 冷静を取り戻した俺を見て、女王は続ける。
「精霊石は石であると同時に鉱石でもあります。金属にもなりますし、ガラスのような脆い姿を見せることもあります。ですが精霊の力を宿す性質は、きっとブルーさんのお役に立つと思います」「ありがとうございます。本当に」
女王がこれを教えてくれたおかげで、課題だった各精霊の素材が解決したようなものだ。つまり、精霊石にイグニスたちが力を籠めればいい。 これでついにシルフさえ見つければ新しい武器が手に入る。
「お役に立てたならよかったです。頑張ってくださいね」「はい!」
シルフを探すヒントは「風の導きのままに」というよくわからない言葉だけど、それ以上に精霊石を教えてくれたのが大きい。 女王に最大の感謝を伝えつつ、俺は巨木を降りて、シルフ探しを再開した。