第32話 ぅえ!? (1/2)

イグニス、アクア、テラと順調に仲間にして最後の一体になったのはいいんだけど、肝心のその一体がどこにいるのかわからない。 三体はそれぞれが根城にしている場所があったし、それぞれの特性に合わせた環境になっていたからわかりやすかった。でも最後の一体、シルフはそうじゃないみたい。 巨木を基準に四方に探索した。三方には三体がそれぞれいて、もう一方は初めて巨木に来た時の方向。特に何もなかったはずだ。

「風……風ねぇ」

風なんてどこでも吹いてる。それに精霊にしてもどこにでもいた。どこが多くてどこが少ない、みたいな差はほとんど見受けられなかった。総じてイグニスたちに近ければ近いほど数は減った。

「イグニスたちはシルフがいる場所知らない?」「?」「?」「?」

全員知らないみたい。困ったなぁ。 考えながら歩き、いつの間にか巨木まで戻ってきていた。

「女王に聞いてみる?」

さすがに女王でも精霊の居場所なんて知ってるわけないか。でも念のために、もう一度会ってみよう。 巨木の中に入り、何回見ても驚く光景を目にしながらエレベーターに乗り込み、最上階へ。そこではやはり精霊女王が玉座に座っていた。

「あら、ブルーさん。どうされました?」「実は、シルフがどこにいるのかわからなくて」「シルフさんですか……」

女王は何やら考えるそぶりを見せる。人差し指を顎に当て、こてん、と首をかしげる。あざとい……が、その姿があまりにも様になっているから、あまりあざとさがない。

「彼女は気まぐれですから、特定の場所にいるということがないのです。そうですね……私がお教えできることは、風の導きのままに、ということくらいでしょうか」「風の導き……」

そう言われてもよくわからない。風の導きってことは、風向とかそういうこと?

「それはそうと」

パンッと手を叩き、女王は話題を変えた。

「そのお三方はサラマンダーさん、ウンディーネさん、ノームさんですね?」「そうです」「ブルーさんと一緒にいるということは、共に行くことにしたということですか」「そうらしいです」「素晴らしいです、ブルーさん。人に懐くことがないとされる皆さんを仲間にするのは、それなりに苦労したでしょう?」「いえ全く」「え?」「え?」

苦労も何も、見つけてすぐ仲間になったよ? なんなら見つけるまでのほうが苦労した。 女王は俺の言葉に本当に驚いたようで、目を丸くしている。あれ、俺何かやっちゃいました?

「精霊はあらゆるものの内面を見ます。もしかしたらブルーさんは、皆さんにとってとても心地のいい方なのかもしれませんね」「そうなんですかね」

言われてもよくわからない。女王がそういうならそういうことなんだろう。

「あ、ノームさんがいらっしゃるということは、精霊石も手に入れられたのですよね」「精霊石?」「知りませんか? ノームさんの近くにあった結晶のような石なのですけど」「ああ、あれか」

テラが砕いて吸収してたやつか。あれ精霊石って言うんだ。アイテムの所有者が俺じゃないから名称を確認できないんだよね。

「精霊石は土属性の精霊が長い年月をかけて作り出す、精霊界でも貴重な品です。ノームさんの場合はちょっと特別で、長い年月をかけ成長したら自在に作り出せたりするらしいのですが」「そうなの?」「?」

テラに聞いてみるが、首をかしげるだけだ。貴重な石を自在に作れるとか、めちゃくちゃすごいじゃん。