第27話 断トツ (2/2)

その巨木の根元には、人一人が通れるほどの扉が取り付けてあった。小さな精霊はそこに入っていく。後に続いて俺も入る。

「うわ……」

この巨木を見てから感嘆してばかりな気がするが、大目に見てほしい。 巨木の中に入ると、そこは文字通り別世界。というか明らかに外見よりも空間が広い。巨木とはいえ周りを一周することなんて造作でもなさそうだったのに、中に入ってみると一周するのにどれくらいかかるのかわからなくなってしまっている。

[女王! 待ってる!][上! 上!]

ここ登るの……?

[こっち! こっちー!]

さすがにないか。 小さな精霊に案内されたのは一本の真っすぐに伸びる柱。柱と言っても滅茶苦茶太いし、なんなら木だ。木の中に木があるのもおかしな話だけど。 チンッという子気味いい音を立てたかと思うと、その柱の一部が二つに割れた。 マジすか。ここ、エレベーターあるんすか。

「精霊の街、文明進みすぎじゃ?」

あるのかわからないけど、空間がこんなに広いのは魔法だろうし、その魔法でエレベーターまで完備している。これに比べたら人間の街なんて文明レベルが低すぎる。

[ついたー!]「え、もう?」

見上げても天井なんて見えなかったのに、たった数秒でついたの? エレベーター特有の押しつぶされる感覚もなかったし、浮かび上がるような感覚もなかった。ついにリアルの文明すら超えたか…… 小さな精霊の言葉を証明するように、エレベーターの扉が開く。まばゆいほどの光が隙間から入ってくる。 その光に目が慣れたころ、扉は完全に開き、その先の光景を俺に見せつける。

「ようこそ、精霊の国へ。リーリー、連れてきてくれてありがとう」

大量の葉がステンドグラスのように重なり合い幻想的な光の筋を作り出す空間のなかで、ひと際強い陽光をまるで後光のように背に受け玉座に坐する一人の女性。ベールのようなもので顔や表情は伺えないが、一つだけ特徴的な部分が。

「で、でっか……」

なにが、とは言わないけれども。朱音よりも、るなさんよりも、ミカよりも、てか今まで俺が見たことある人の中で断トツででかかった。何がとは言わないけどね!