お店を守れ!! ラーメンバトル編 1 (1/2)

ある日の昼下がり。 私はお父さんに頼まれたお使いで、サポートデバイスのシャンティと隣町へとやってきていました。 電車から降りた私は買ってくる物のメモを見て早速お店に向かうことにします。

「――――え~っと。まずはモーモー牧場で搾りたてミルクを買って、それから野菜帝国さんに行って適当な野菜を買う感じですね」「ねぇ、桜。ところで今日は何の買い物に来たの?」

後ろから付いてきてるシャンティからの質問を私は歩いたまま答える事にしました。

「今度お店で出す新作ラーメンの材料です。とりあえずダシが出そうな物は全部鍋に入れて研究するって言ってました」「…………そんなんで美味しいの作れるの?」「もちろん作れます。なんたって私のお店のスープは4000年の歴史があるのですから!」

そう。私のお店で出しているラーメンスープはお父さんが中国にラーメン修行に行った時にラーメン仙人さんから譲り受けた由緒正しき秘伝のスープなのです。 一節によると原始時代に恐竜の骨を煮込んでいたという説もあり、現代の料理会では再現不可能と言われている最強スープです。 そのスープに色んな材料を組み合わせてちょくちょく新メニューとして出しているのですが、結局普通のが一番いいと言った評価に落ち着いて、なかなか新メニューが出来ないのがここ数年の状況なので、今回こそ新しいメニューを追加しないと。 「お~い。カレーはいらんかね~」

鼻を刺激するスパイシーな香りと威勢のいい声に足を止めると、道の脇にカレーの屋台をやっているお兄さんの姿が見えました。

「おおっ!? こ、これはかなり美味しそうです!!!」「あれ? 今日は買い物のついでにライバル店の視察も行くんじゃなかったっけ?」「――――あっ!? そう言えばそうでした」

実は最近うちのお店の売上が落ちていて、その原因がどうやらこの隣町に出来た新しいお店にお客さんが取られているという事を最近になって知りました。 なので買い物のついでにライバル店の視察をする事も今回のお使いのもう1つの目的でもあります。

だから、ここでお昼を食べてしまってはお腹いっぱいになってしまい、ライバル店でご飯が食べられなくなってしまうのですが…………。

「お嬢ちゃん。食べてくかい?」「う……それは…………」

私のお腹がグゥと悲鳴を上げカレーを買う事を急かして来ます。 い、いったいどうすればいいんでしょうか…………。

「美味しいジュースもあるから飲み物だけでもいいから買ってきな?」

お兄さんが出してくれたメニュー表にはカレーの他に、タピオカジュースもいくつか載っていました。

「…………ジュース? こ、これです!!!!!」「あれ? ジュースでいいの?」

どうやらシャンティは私がカレーの魔力に打ち勝った事を不思議に思っているようです。

「はい。……では、ジュースをお願いします」「あいよ~」

お兄さんは屋台の後ろからジュース用のカップを1個取り出してパカッと蓋を開けました。

「それで、味はどうするんだい?」「もちろんアレで!!」  私はカレーの入っているお鍋に指をさすとお兄さんはニヤリと笑いました。 「ほう? わかってるねぇ」「え!? 桜、どういう事?」  くふふ。どうやらシャンティは解ってないようなので説明してあげる事にしましょうか。