第25話 二人の共通点 (1/2)
「放課後の保健室でお勉強って淫靡な響きよね」
「シバくぞ」
悲劇から一夜明け、保健室では<ruby><rb>恙</rb><rp>(</rp><rt>つつが</rt><rp>)</rp></ruby>なく勉強会は進行していた。 本日の参加者は監督の万里と、講師の東堂、参加希望者の北条、そして追試者2名。 内容としては、補習用のプリントを使って北条を含む3人がそれぞれ学習を行うというものだった。
分からない部分は東堂が教え、資料や解説が必要な場合は万里が指導に入った。 全員の脳裏に過る『留年』の2文字から、割とガチの勉強会である。
現在、万里がミニテストを採点しているので4人は息抜きに雑談していた。
「東堂、お前ホント頭いいな。テスト何点くらいだったんだ?」
「今回は1300点だったよ」
「……13教科だったよな?」
「はぁ……こういう自己中心的な人が居るから平均点が上がるのね」
「あーちゃんのせいするな! 自分の勉強不足じゃん!」
「それはそうなんだけど、お前に発言権はない」
一応、満遍なく平均点以上を取っていた勤勉な北条には発言権があった。
「あ! てか、今思い出したわ! 西宮がいつだったかに意味深に濁して言ってたウチの学園に来た理由ってまさか……!」
「あー、そっかー、<ruby><rb>ウチの学園</rb><rp>(</rp><rt>まるじょ</rt><rp>)</rp></ruby>って鉛筆握れれば合格出来るって言われてるもんねー」
「そうよ、それなのにこんなにレベルが高いなんて聞いてないわ」
「言うほど高くないし、まだ一年の中間考査だよ……?」
しかし、絶望の色を顔に滲ませる追試者2名はこの後、さらなる衝撃の事実を突きつけられる事となる。
***
休憩が終わり、東堂が南雲に、万里が北条と西宮のサポートについた。
「ゆーちゃんの課題は暗記だね。おそらく、教科担当の先生から貰ったこのプリントはかなり追試内容に近いと思うよ」
「ほうほう! つまり?」
「…………ひたすら覚えるしかないって事だね」
「ほーりーしっと!」
一言に暗記科目と言っても、覚え方にも人それぞれある。 ただ、覚えろというのも酷なもので、なんとか良い方法がないかと東堂は探す。
「ゆーちゃんってさ。別に暗記するのとか苦手では無かったよね」
「いやー、記憶領域をこんなムダなことに割きたくないっていう防衛反応かなぁ?」
「ふむふむ……なるほど? じゃあさ、試してみた事があるんだけど」