第24話 黄昏時 (1/2)

「全て私がどこで手に入れられるか知っている素材よ。開発者だし当然だけれどね。そんなに心配しないで大丈夫。頑張ればちゃんと武器を作れるわ」「名前的には簡単そうには思えないけど……」「もちろん簡単じゃないわ」

ですよねー。有名すぎるほど有名な精霊の名前が付いた素材だ。逆に難しくないとおかしいだろう。 だが、目的達成のためには必ず遂げなければならない。いわば試練だ。この程度越えられなければ、ミカ母は絶対に救えない。

「ふふ、いいわね。その表情」「変な顔でもしてたかな……」「違うわよ。やる気に満ちたその顔……早く場所を教えてほしそうね」「そりゃ集めるのは早いほうがいいから」「じゃあ教えるわね。素材は四つで倒すべきモンスターも四種だけれど目的地は一つ。精霊が集い出来上がった、精霊の精霊による精霊のための楽園──」

──精霊の森。

準備を整えた俺は、さっそく精霊の森へ向かって歩き始めた。と言っても、準備するものは特にないし、目的地だけ教えられて肝心の行き方は教えてくれなかったので、闇雲に捜し歩くしかない。 行き方を教えてくれなかった、がしかし、ヒントはくれた。それより答えを教えてほしかったのは言うまでもない。

──きっとそのときになればわかるわ。自分の直感を信じて

るなさんにそう助言をもらい、俺は店を出た。追い出されたのほうが正しいかもしれない。

「とはいえブラブラ歩いているのも時間の無駄だと思うしな……」

朱音に聞く? いやいや、なんでもかんでも頼るのは違うだろう。朱音は喜んで教えてくれるかもしれないけど、それじゃあつまらない。自分の足で何とかしてこそ、達成感やら感動やらがある、はずだ。街は大体円形で、南のほうに森がある。金荒野は森の反対なので北側。行ったことがないのは東西の方角。マップを確認する限り、東はそれなりに進んだところで海になっている。西はマップの端まで陸続き。精霊の森がある確率は西側が高そうだ。

「念のため東側も確認しとくか……」

東もそれなりに広いが、朱音と行った森の深部より少し遠いくらい。行けなくはない。それに確率的に低いとしてもゼロじゃないから、東を潰しておくのはありだろう。

「駆け足で東側見回りますか」

そうと決まれば、進路を東に向ける。【疾走】もあるし、地形も比較的平べったい。あまり時間がかからないで探索が終わるだろう。 俺は東の可能性を潰すため、東へ向かって歩き出した。

「ぜぇ……ぜぇ……」

東へ向かってはや数時間。やっと端にたどり着いた。 予想通りそこは海につながっていた。ただ浜辺はなく、あるのは崖のみ。海水浴する人なんているはずもない。