第2話 (1/2)
「ねぇ、アリア、朝は白パンにする?それともサラダ...」
「・・・」
「アリア〜!アリアってばーーー」
リーシャは朝から困っていた。昨日の一件が原因で、可愛い妹のアリアが口を聞いてくれないのだ。
「アリア、リーシャはアリアを心配していたからこその行動だったんだ。そろそろ許してあげなさい。」
見かねた1番上の兄、ロイが話しかける。それでもアリアは膨れっ面なままだった。
「それにしても、あの噂はやはり本当だったんだね。」
2番目の兄、ライルが口を開く。
「村の近くの禁猟区で貴族たちが闇猟りを楽しんでいる、って噂にはなっていたんだ。禁猟区だからこそ鹿やうさぎはもちろん、良質の鴨もいる。ただ、鴨はフリンさんちの農場で育てた立派な家畜だからなぁ」
「林で放牧して育ててるんだったよな。栄養つけさせるために」
ロイも続いて口を開く。
2人ともこの辺の事情には詳しいのだが、まさか貴族がわざわざこんな田舎の村に来て猟りを楽しむなんて思ってもみなかったようだ。
「昨日の今日だ。さすがにまた来ることはないだろうが、アリアは危ないから留守番だ。林には近づくなよ」
「えー!アリアお兄さんに会えるかもしれないから、また林に行きたいと思ってたのに!」
「だーめーだ」
アリアはしゅん、としながらも兄の言うことを聞き、大人しく朝食の準備を手伝った。
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「リーシャすまない、そっちが終わったら水汲みを頼めるかな?」
「ええ、わかったわ」
アリアのかわりに水汲みに行くリーシャ。大人用の大きなバケツを手にすると、続けてロイに声をかけられる。
「アリアだけじゃない。リーシャも気をつけるんだぞ。闇猟りをするようなやつらだ。まともじゃないだろ。危ないと思ったらー・・」
「だーいじょうぶよ兄さん!そんなやつら、私が水のたっぷり入ったバケツを投げつけてやるわ」
そう息巻いて、リーシャは林へと向かう。
ロイは心配そうにリーシャの後ろ姿を見つめつつ、自身の畑仕事へと戻った。
ーーー
「ふぅ。これでよし。兄さんのところへもどらなきゃ」
バケツにたっぷりと水を組み、リーシャが帰路につこうとしたとき....
グワッ!ワッ!グワァーー!
「きゃっ!な、何?」
リーシャの前に川の上流から、血を流しながら傷ついた鴨が。
「なんてこと。この子、兄さんたちが言っていたフリンさんちの鴨だわ。」